S2000の流麗なフォルムをよりレーシーに引き立てる、無限ハードトップ。その圧倒的なスタイリングに惹かれ、愛車に装着しているオーナー様も多いはずです。 しかし、晴れた日にガレージから出してルーフに目を落としたとき、角の部分が白っぽくカサついていたり、クリアがパリッと割れる無惨な「塗装剥げ」が始まっていたりしないでしょうか。
軽量で強度の高いFRP(繊維強化プラスチック)製のパーツは、スポーツカーにとって理想的な素材である反面、鉄板のボディとは全く異なる独自の「傷み方」をします。今回は、現場で数多くのFRPパーツと向き合ってきたプロの目線から、ハードトップの修復をお伝えします。
ただ上塗りしても直らない。FRPが引き起こす「塗装剥げ」の真実
FRP製のハードトップは、長年蓄積された紫外線やエンジンの熱、走行中のねじれや振動を直接受け止めています。年月が経つと、表面のゲルコート層が徐々に痩せ、内部のガラス繊維の「目」がうっすらと浮き出てきます。
こうして下地の樹脂そのものが劣化してくると、表面に乗っている塗膜は密着する基盤を失います。結果として、洗車時の水圧やちょっとした飛び石をきっかけに、ある日突然、塗装が広範囲にわたってペロリと剥がれ落ちてしまうのです。 この状態に陥ったFRPは、表面を軽くペーパーで均して新しい色を吹き付けたところで、根本的な解決にはなりません。すぐにまた内側から塗装が浮き上がってしまいます。
粉まみれで素地を探る。地道で泥臭い下地処理
本当に美しい状態を取り戻すには、傷んだ塗膜や劣化したゲルコートを、健全なFRPの層が出てくるまで思い切って削り落とす必要があります。
削り粉にまみれながら、指先の感覚を頼りにFRPの微細なクラック(ヒビ)や無数のピンホール(巣穴)を探り当てていく。そこへ専用のパテを擦り込み、サフェーサーを吹き付けては研ぐ工程を何度も繰り返します。FRP特有の歪みや波打ちを抜き、元の美しいアーチ形状を削り出していくこの作業は、非常に泥臭く、ひたすら根気のいる工程です。 しかし、この「素地を徹底的に整える」という土台作りを妥協しないことこそが、数年先の仕上がりの持続を決定づけます。
S2000のボディに再び馴染む、息を呑むような再塗装
下地が完璧に整って初めて、塗装ブースでの吹き付け工程に移ります。
S2000本体の経年による色合いの変化に合わせるシビアな調色はもちろんですが、FRPは鉄・アルミとは塗料の吸い込み方や温度変化の伝わり方が異なります。スプレーガンから吐出される塗料の粒の大きさ、シンナーの希釈具合、ガンを動かすスピード。これらを現場の温度と湿度に合わせて感覚で微調整しながら、しっとりとした深い艶を幾重にも塗り重ねていきます。
組み上げられ、自然光の下でボディと一体化したハードトップを見た瞬間、これまでの地道な作業が報われるような、息を呑む美しい仕上がりが生まれるのです。
希少な無限ハードトップを、これからも美しく保つために
生産終了から時が経ち、状態の良い無限ハードトップはますます希少価値が高まっています。だからこそ、塗装剥げやヒビ割れなどのSOSサインを見つけたら、FRPの繊維深くに水分や汚れが浸透して取り返しのつかない状態になる前に、早めの処置を施すことが重要です。
「今のボロボロの状態からでも綺麗に直るのだろうか」 「全体を塗り直すべきか、プロの意見を聞いてみたい」
もし、大切なハードトップの状態でお悩みでしたら、そのまま諦めずに私たちにご相談ください。一台一台、パーツの劣化具合を直接しっかりと確認した上で、あなたのS2000にとって最適な修復プランをご提案させていただきます。
まずはお気軽に、お問い合わせフォームより現在の状態や気になっている点をお聞かせください。







